大学受験用オリジナル教材『UNLIMITED』バージョンアップ完了

大学受験用オリジナル教材『UNLIMITED』を2年ぶりにバージョンアップしました。

英文法用の教材である『UNLIMITED』は、2年前の時点でver.2でした。ver.2の段階で、大学受験に必要な英文法のポイントはほとんど網羅していたので、形式や構成に大きな変化はありません。けれども、問題を半分以上入れ替え、手薄だったポイントを増強し、補完することができました。

UNLIMITED』は、主に授業で用いる教材なので、GENUINEの「こだわり」の1つである「思考力と自力/地力を鍛える授業」を実現するための手段です。授業では、考えさせるために口頭試問を多用していますが、問題自体が単純だと、掘り下げようがありません。例えば、選択問題では普通、選択肢の中からすんなり2つに絞ることができても、どちらが正答かを決めるのにかなり悩むはずです。けれども、悩むことなく正答を選べてしまうようであれば、考える余地はほとんど残っていません。また、消去法で解けてしまう問題だと、どうして正しいのかをきちんと理解していなくても、明らかに誤っている選択肢のおかげで正答を選ぶことができてしまいます。つまり、選択問題が抱えるデメリットが、そのまま問題に現れてしまっているのです。

上記のようなデメリットを抱える選択問題は批判されがちですが、客観問題としてのメリットは代え難いです。だから、上記のようなデメリットを排除することだけでなく、客観問題のメリットを最大限活かし、全体的に質を向上させることも、今回のバージョンアップの目的でした。「全体的に質を向上させる」と聞くと、当たり前で、また、漠然としているとも思われるかもしれません。「全体」とはどれくらいの範囲なのか、そして、「向上」とはどの程度なのか、これらを具体的にお伝えします。

UNLIMITED』は大学受験用の教材なので、扱っている問題のほとんどは、大学入試で実際に出題された問題です。それらは、二段階選抜で絞っています。まず、大学入試問題を解き、生徒が考えなければ解けないような「質」が高い問題を選びます。この時点で、多くとも10%ぐらいしか残りません。そして、その中から、英文法のポイントごとに最適な問題を選びます。

ver.2で、第一次選抜を通過した問題は約3,500問でした。ですので、その10倍の35,000問は解きました。そして、ver.3にバージョンアップするにあたって、第一次選抜を通過した問題は約9,000問でしたので、その10倍の90,000問は解きました。ver.3のための候補問題数はver.2の約2.6倍なので、問題を全て入れ替えることも可能ですし、ver.2と同規模であれば、最低でももう2パターンは作成可能です。というわけで、対象範囲は実際に「全体」です。また、その約9,000問の中から選んだ問題を、ver.2の問題と入れ替えたり加えたりしましたが、結果的にver.3で採用された問題は、これまで第一次選抜を通過した計約12,500問の中から厳選された精鋭です。最終的な倍率も踏まえれば、どれだけ「向上」しているかを想像するのは容易なはずです。

第二次選抜では、英文法のポイントごとに最適な問題を選んだので、基本的には各ポイントにつき1問です。そのため、どの問題を選ぶかでかなり悩んだポイントが多々ありましたが、それでも最後は1問に絞りました。授業用教材である『UNLIMITED』は、宿題用教材とは異なり問題数を追求する必要はなく、時間が限られた授業で用いる教材だからこそ、各ポイントにつき1問に絞る必要があります。その結果、約12,500問は、倍率が少なくとも10倍の第一次選抜を通過しているので、「質」は十分に高いですが、その多くは候補のまま利用されることはありません。けれども、それらがあったからこそ厳選となり、それらの存在は「質」の証しの1つなので、全く無駄ではありません。

GENUINEでは、オリジナル教材であっても、受験学年用の場合、オリジナル問題は意図的に避けているので、採用している問題のほとんどは実際に入試で出題されたものです。また、入試問題の改題も極力避けるようにしています。だから、教材の難易度だけでなく「質」も、どの問題を選ぶかで決まります。この場合は基本的に、「質」がどれだけ高いかは「量」がどれだけ多いか次第なので、「質」の高さと「量」の多さは比例します。勿論、「量」さえ多ければいいわけでもありません。その中からどれを選ぶかで「質」が大きく変わってしまうので、選ぶ側の目利きがかなり重要になります。ただ選ぶだけだと思われるかもしれませんが、オリジナル問題を作成したり入試問題を改題する方が、自分にとっては苦労が少ないです。特に労力の差は明らかです。『UNLIMITED』で採用した問題の大半をオリジナル問題や改題した問題で占めていれば、バージョンアップに2年もかからなかったのは間違いないです。

というわけで、バージョンアップとはいえ、新しい教材を複数作成できるぐらい大規模だったので、2年もかかりました。勿論、その間、ほとんど毎日授業をし、他のオリジナル教材も作成していましたが、それでも、大学入試を90,000問以上解き、その中から約9,000問を選んだだけでなく、データベース化するために入力もしたので、時間をかなり費やしました。これまでもずっとそうでしたが、特にこの2年間は、「最近どんな本を読みましたか」と尋ねられたら「赤本/青本」と答えるしかないぐらい、過去問と向き合う日々でした。

考える必要がないような問題だけでなく、大学受験レベルを超えてしまっている正答率が低いだけの問題も、『UNLIMITED』には採用していません。けれども、考えさせるための問題を厳選した結果、難易度は確実に高くなっています。けれども、問題がどんなに難しくてどんなに複雑でも、きちんと理解させることは勿論、できる限り簡潔に理解させるのが授業です。だから、そのような授業を実現させるための教材である『UNLIMITED』では、考えさせるための問題選びだけでなく、理解しやすくするために「構成」にも最大限の注意を払っています。ver.2の段階で構成の大枠は固まっていたので、ver.3を一見しただけでは、問題数が少し増えただけだと思われるかもしれません。けれども、できる限り簡潔に理解できるように、効果と効率を最大限に追求した結果、問題の「順序」を全体的に見直しました。再構成したポイントもあれば、少しでも効果と効率を上げるために、順序を前後に入れ替えただけの問題もあります。順序に変更がない問題は、その意図がさらに確固たるものになった結果です。授業で用いる教材だからこそ、問題を選んだ意図があれば、それぞれの順序にも明確な意図があるのです。

大学受験では、文法問題だけでなく語法問題も多く出題され、語法問題の出題率は高校受験よりもずっと高いです。けれども語法問題は、文法問題ほど体系的ではないので、その扱いにはかなり苦労します。参考書や問題集によっては、語法問題をただ羅列するだけだったり、語法問題を削っていることさえあります。勿論、GENUINEでは、語法問題を削ることなく、体系化を可能な限り実現するために、「構成」と「順序」の最適解を追求しています。ver.3にバージョンアップするにあたって、特に「動詞の語法」はかなり手を加えました。その結果、固まっていたはずの「準動詞」にも影響が及び、その意図がさらに強固になりました。それでも、語法問題に関しては、簡潔とはまだまだ言い切れない(語法である限り仕方がないのですが)ので、さらにシミュレーションを繰り返し、最終的には授業での生徒の実際の反応を確認しながら、これからも引き続き「質の向上」を目指していきます。

ちなみに、このタイトルを「バージョンアップ完了」としましたが、正確には「バージョンアップ継続中」です。昨年の8月に実用化レベルに達したので、その時点でver.3にバージョンアップしていたのですが、現在も改訂し続けているので、現時点(2019年1月14日現在)でバージョンは3.17です。

また、ver.4へのバージョンアップに向けて少しずつ作業を進めています。ver.4は、ver.3にバージョンアップをする過程で想定していたので、そのための第一次選抜は既に終えています。だから、実質的に費やす時間はそれほど長くはならないはずですが、4年かかっている別の教材の最終調整など、他の教材との兼ね合いがありますので、ver.4へのバージョンアップは意外と先になるかもしれません。ver.4は、ver.3の改訂版ではなく、増補版です。勿論、先述の通り、『UNLIMITED』は宿題用教材ではなく授業用教材なので、問題数をただ増やすつもりはありません。具体的な内容は、「バージョンアップ完了」報告時にお伝えする予定です。

UNLIMITED』は、GENUINEの看板商品である授業で用いる教材なので、授業同様「こだわり」が詰まっている分、企業秘密にしておきたいのですが、授業に関する「こだわり」を既に紹介しているので、オリジナル教材の「こだわり」も紹介しようと思いました。『UNLIMITED』を通じて、具体的に知っていただければと思います。